別れ

 母が入院した。正確に言えば「父に続いて母も入院した」となるが、
父は脳梗塞。母は認知症
 隣りの棟に住んで別暮らしだったとは言え、
2ヶ月の間に両親が入院して、家に戻って来る確率が極めて低いのが現実。
寂しい限りです。

 父が倒れて入院してから、父の世話の殆どを母がしていたので、自分にも責任が有る。
今まで夫婦で暮らしていたのに、ある日突然脳梗塞で倒れて緊急入院。
その4日前にクルマで道に迷って、ガス欠で路上に停めていたところを近所の方が通報してくれたのだが、
母は電車で50km離れた現場まで1人で向かい、クルマを運転して帰って来たのだ。

 1月25日午後3時。母が3km離れたスーパーにクルマを置いて来てしまったので、
送って欲しいと言って来た。私はその日の夜まで仕事だったので、
何の疑いも無く送ってしまったのだが、そのスーパー駐車場に母のクルマは見当たらなかった。
母は膝を患っていて杖を使って歩かなければならないので、
「クルマの傍まで寄せるよ」と言ったのだが、「大丈夫だから帰って」と言われ、
そのまま帰宅した。家に戻ると母のクルマが有った。
心配なので仕事帰りの妻に電話したところ、スーパー周辺の他の店に居たので、
捜しに行ってもらった。何とか駐車場で見つかったので、妻がクルマに乗せて帰宅したのだが、
普段歩くのが困難な母が1km以上も歩いて移動したのが不思議だった。
 そして午後7時。埼玉県の寄居警察署から、
母が自損事故でケガをして保護しているので迎えに来るよう連絡が入る。
歩道の縁石に乗り上げて植え込みに激突し、左前輪をパンク。
燃料タンクに穴が開いてガソリンが漏れたが幸い火災には至らなかったと言う。
そこで警察から事故の経緯について問われると、
母は「クルマは夫が運転していたが、夫はタクシーを呼んで先に帰った。
私は運転免許を持っていない」と答えたらしい。

 年が明けて妹夫婦と食事をした頃は変わったところは見当たらなかったらしいが、
20日辺りから徐々に認知症の兆しが見え隠れしていたようだ。

 亡くなった訳ではないので、病院に行けば会えるのだが、
主を失った飼い犬、荒れ放題の庭を見ると切なくて泣きたくなった。
妻は早くに母親を亡くし、父親も施設で暮らしているので、
からしてみたら甘いと言われそうだが、
やはり急激過ぎる。
明日は仕事だが、意欲が湧きません。