痕跡

やっぱりと言うか、大方の予測通りだったのでございますが、
今年の初夢は、長~い黒髪を束ねた真っ白な肌をした
クラリオン星人みたいな彼女と御対面でした。
制服を着て、長い睫毛と大きな瞳で
無言のまま、俺を軽蔑の眼(まなこ)で見つめていた。

そりゃ夢の中だったから、言葉は交わせなかったけれど、
俺の記憶に深く刻み込まれた、2008年11月9日のあの日。
一番最後に目にした時の、見納めの彼女の姿そのままだった。
癒えない傷痕が残ってるという事を改めて思い知らされた。
年明け早々に。

ふと見上げると、ベランダには夏タイヤが横積みされていた。
そのタイヤの上に灯油缶が置かれていた。
ただ、見た感じ4本積み上げられた高さじゃなかった。
2本ってトコか。残り2本は部屋の中だろう。
剥き出しじゃ紫外線で劣化して罅割れてしまうから。
その辺りは結構神経質なんですね。

やっぱり真紅のクーペは手放しちゃったみたいだ。
そこまで拘って居られない位、
仕事が変わって経済的に苦しいんだろうな。
今度のボディカラーは「黒」
携帯もブラックボディに変えるのだろうか…。
彼女にはスカーレット(緋色)が似合っていたのだけど…。
俺の単なる思い込みか。

性格が腹黒いから、ムーヴは黒にしたのですか?
そんな事言ったら、怒られそうだな。
まァこの先永遠に彼女と言葉を交わす機会に恵まれる事は無いだろう。
それでも、俺の右手がCBRのアクセルを一捻りすれば、
カムギアトレーンが唸りを上げて北へ疾走してしまうとです。
そして、気が付けば20分後には例の場所へ辿り着いている。
何故だろう?俺にも分からない。
お薬の時間みたいですね。
俺も銀河系の果てまで飛んで生きたい気分さ。
この命、星屑のように粉々に砕けて散った方がどれだけ幸せか。