終業後、建物を後にした俺は、いつもの場所にクルマの鍵が入っていない事に気付いた。
歩いている途中で落としたのなら、音がするはず。
上着のポケットを探しても見つからず。
諦めて守衛所に「落し物」の連絡を入れてしまった。
一度クルマまで行って、周辺を見渡したが、それらしき物の影すら見当たらず。
再び経路を辿っている最中に、コートのポケットに手を入れたら、そこに鍵が…。
何故。今日に限ってコートのポケットなんだろう。
3日振りにクルマで通勤したからか。
流石に、深夜2時に家に電話する気にはなれんわ。
最悪、歩いて帰る事も考えた。
俺に取って、1時間以内なら苦にならないなら。
スペアが2本あっても、自分の部屋だからな。あまり意味がない。
右往左往している内に、25分が経過していた。
普段、何気なく触れているモノが突然消え去ってしまう。
失くしてしまった事で、改めて、その存在の大きさを知るのでした。


「南 佳孝」俺は高校卒業と同時に、彼のCDを買い漁っていた。
やたら背伸びしてた、今思うと、そんな気がする。
♪人生は ゲーム 誰もが自分を 愛しているだけの 悲しいゲームさ
まァ、そんな人々は星の数ほどいるとです。
星屑になってしまえばいいのに…。