処分

 不倫野郎に処分が下ったとの噂を耳にし、普段は1本で済ます酒を、
もう1本追加してしまいました。
 来週から私の職場に来るのは予想外だったが、
これは処分の第一段階(執行猶予)であって、
降格処分されても懲りずに不倫関係を継続しているのが発覚したら、
震え上がるような厳罰が下されるのは、容易に予想が付く。
 こいつが今まで自己都合で残業し放題だったのが、基本残業ゼロ。
そして、事実を知る人物が私を含めて約2名。
事実を知らない他の人達が、不倫野郎を弄り捲るのは目に見えている。
「どうしてココに異動になったんだ?」
「何かやらかしたのと違うんか?」
興味本位で心を深く抉り込むような質問攻めに会えば、
自ら口を割るのも時間の問題ではないか…。
こんな結末が待っていようとは夢にも思わなかっただろう。
マイペースで和を乱すような性格が招いた故の災いなんだから、
仕方ないでしょうよ。

 販売業なら、お客様の手を握りながら釣銭を渡したとしても、
笑い話で済む程度だが、
 製造業は古い慣習が残っているのだ。
厳しい規律を敷くのも、組織が成果を上げる為の手段。

 毎日無精髭面で調子に乗りやがって。
しかも、その無精髭をマスクで隠して廊下を歩く姑息な手。
まァ不倫野郎の元職場では、隣席の男女同士が乳繰り合うのを毎日見せ付けられ続け、
日常化していたので、
それに影響を受けたのか、感覚が麻痺しちまったのか、
でも、いい大人なんだから善悪の区別は付くよね。
その元上司も常に髭面だった。

 これで暫くは平穏に過ごせそうだ。
奴に引導を渡さずとも、
嘲笑され続ければ、何れ精神バランスが崩れるに違いない。

 私も一歩道を踏み外していたら、処罰されていただろう。
仕事中に女性社員と会話する程度では罪に問われない。
やはり、窓辺の月は遠く離れているから綺麗に映るのであり、
手を伸ばしても届かない距離故の美しさという事を忘れてはならない。
それに、妄想するだけなら罪に問われない。
スリルを求めるのはリスクも同時って事。



①改心して関係を断ち切る
②懲りずに続ける

②を選択する気がしてならない。
そして、「みかんの里へこんにちは」となる事を願う。