これは、アタシが社会人になって2年目くらいの頃の話なんですが、
当時勤めていた会社は、職場結婚が結構多くて、
そうするって~と、終業後に有志が集って結婚式の時に配る栞を作ったりしてた。
組合事務所の備品を使うのも、書記長以下役員の暗黙の了解で…。
皆さん、仕事を終えてからボランティアで熱心に原稿を書きとめてるんですよ。
だけどね~丁度その頃、アタシは片思いの彼女にフラれて、とても苛立っていたんです。
やり場の無い怒りに震えて両手の拳を思いっ切り握り締め、爪の跡が残る位。
そして、ついに癇癪玉を炸裂させてしまったんです。
「若気の至り」とでも言いましょうか、
今になって思えば、職場の諸先輩方に対して申し訳ないと言う気持ちで一杯です。
怒りの矛先を向ける相手が違いましたね。
半笑いで編集作業に勤しむ方々に、鋭い殺気を放っていた事を後悔しています。
それから2ヵ月後に退職届を提出して、職場を後にしました。
アタシは3年足らずで、会社を辞めてしまいました。

仕事を終えて家路をクルマで走っている時、視界が悪いって事に気が付いた。
妙に変だな~だってオカシイじゃない。
空を見上げれば太陽の光が真上から燦燦と降り注いでるってのに、
アタシの瞼は土砂降りの雨。何も見えやしない。
周りを見回しても、ワイパーを動かしてるクルマなんてない。
そん時アタシ気付いちゃった。
あぁこれ、雨じゃなくて振られちまったのが悔しくて泣いてるんだって。

あの時の心の傷ってのを随分と引き摺ってしまい、
何時まで経っても、立ち直れなかったったんですから…。

1つ年上の不思議ちゃん(蟹座AB型)への想いが、
どうしても断ち切れなかった。
だから、こちらから立ち去るしか方法が無かった。



真夏のジリジリと照り付ける太陽によって歪む景色と逃げ水。

そいつを見ると、彼女の事を思い出してしまいます。