新盆

 今年は、本家と母の実家が新盆にあたる。
父から本家を訪ねるよう頼まれたので、
親戚が集う本家へ歩いて出掛けたのでした。
距離的には歩いて5分も掛からないのですが、
記憶を遡っても、本家に行ったのは1度きり。
そりゃ緊張しますよ。見知らぬ人ばかりだし…。

ウチは元を辿れば「隠居」の分家。
長男の嫁に母親が苛められているのを見かねて、
次男が母親を連れて出た。
まァ、曽祖父が極度のマザコンだったのは否定出来ない。
そんな経緯から、未だに本家の人からは「隠居」って呼ばれる。
しかも本家の先代から30年以上前に、
「もう、正月の挨拶は辞めて欲しい」と言われたのを発端に、
祝い事には一切呼ばれていない。
それを小心者の父はとても気にしていた。
でも、時が経てば人の心も変わるのであって、
実際に出向いてみれば、例え御愛想でも歓迎して貰える訳。

酒が出なかったので、返って好都合でしたよ。
アタシって酒が入ると舞台仕込みの芸人並に大声で喋っちゃうから。
これから、存在感を誇示する為に、定期的に本家へ御邪魔しようと決めたのでした。
やっぱり本家との縁は大切にしなくちゃねェ。