記憶の欠片

7月11日。中学生の頃、恋い焦がれた同級生の誕生日だ。
蟹座AB型。168cm。
彼女の存在が、俺の思考回路を狂わせたのとは対照的に、
彼女は俺の事なんか、まるで眼中にないかの素振り。
そんな事は百も承知の上ザンス。
そんな彼女も、今は双子の母親。
「逢いたくない」と言ったら嘘になるが、
遠い記憶は美化されているから、
それを自ら破壊するような行為に及ぼうとは思わない。

忘れてしまいたいのだけど、カレンダーが「7月11日」になると、
思い出してしまう。
これからも永遠に、忘れる事は出来ないのだと思う。

彼女と同じ時代に生まれたのが、間違いの始まりだった。
何の因果か…。
目じりがキュっとつり上がった、あの表情は、
今も変わらないでいるのだろうか?
俺の願望としては、変わらないでいて欲しい。