後悔

「後悔先に立たず」とは言うけれど…。

1995年の秋、書店の駐車場で「里親を探しています」と書かれた子犬を見つけた。
新しい仕事も見つかったし、せっかく一戸建てなんだからと、
2匹いたうちの、元気の良さそうな子を引き取って飼う事にした。
最初は散歩に連れて行っても、あまり歩きたがらなかったけど、
成長していくと、リードを引っ張る力の凄さに閉口するくらいだった。
その頃は3交替勤務だったので、ほぼ毎日散歩に出掛けていた。
体のサイズ以上に吠えた時の鳴き声が大きく、番犬としては最高の役目を果たしてくれた。
家族が帰って来ると、あくびをして出迎えてくれたし。
ただ、毛足が長かったので夏場は相当つらそうだった。

犬は10歳を越えたら、人間に換算すると70歳程度。
飼い始めた時から、先に死んでしまうのは承知の上。
だけど、14年も家族同然に暮らしていたから、
ある日突然、居なくなってしまうのは、つらく悲しいね。
心の整理が付きません。
畑をスコップで掘り、亡骸を抱えて埋葬した。
「今まで、色々とありがとうね」そう呟いた。
樫の木の幹に鎖を繋いで飼っていたので、今もソコを見ると
犬の姿を捜してしまう。
この悲しみを受け入れるには、随分と時間が掛かりそうです。
その悲しみを紛らす為に、酒を煽ってしまいました。